REWで使うべきターゲットカーブ
自動EQはターゲットの指示どおりに動く。だからEQウィンドウで最も重要な設定はターゲットである。
ターゲットカーブとは、リスニングポジションで測定したい周波数特性のことで、REWのEQウィンドウはこれに合わせてフィルターを配置します。良い室内ターゲットはフラットではありません。200 Hzから20 kHzにかけて5〜6 dB下がり、20 Hzに向けて約3 dB上がります。中立なスピーカーを実際の部屋で測るとそうなり、聴き手もそれを好むからです。フラットなターゲットに合わせると、良いシステムでも薄く、きつい音になります。
読了 約5分 · 公開 2026-09-23 · 更新 2026-09-23
フラットが間違ったターゲットである理由
スピーカーは、反射のない無響室で正面がフラットになるよう設計される。だがマイクは無響室にあるわけではない。直接音に加えて壁・床・天井からの反射をすべて拾い、その反射の量は周波数によって違う。
低域ではスピーカーは全方向に放射するので、部屋は多くのエネルギーを受け取って返す。高域では前方に集中するので、壁に届く量は少ない。その合計として、正面特性が完全にフラットなスピーカーでも、室内特性は低音から高音へゆるやかに右下がりになる。さらに小さな部屋が100 Hz以下で溜め込む低音が加わり、良いターゲットに共通する形ができあがる。
このサイトが使っているターゲット
このサイトの解析ツールは、200 Hz以上で1オクターブあたり0.8 dBの右下がりに、最大4 dBで70 Hzで半分に達する低域シェルフを加えたターゲットで音のバランスを判定している。Harmanの聴取研究から生まれたカーブや、古くからあるBrüel & Kjærのハウスカーブと同じ系統だ。下の値は、解析ツールが実行しているのと同じ関数から計算した。
| 周波数 | オフセット | 周波数 | オフセット |
|---|---|---|---|
| 20 Hz | +3.3 dB | 500 Hz | -1.4 dB |
| 40 Hz | +2.6 dB | 1 kHz | -2.2 dB |
| 60 Hz | +1.9 dB | 2 kHz | -3.1 dB |
| 100 Hz | +0.9 dB | 5 kHz | -4.1 dB |
| 200 Hz | 0 dB | 10 kHz | -4.9 dB |
| 300 Hz | -0.7 dB | 20 kHz | -5.7 dB |
意味を持つのは形だけである。絶対的な音量はボリュームとマイクで決まるので、解析ツールは200 Hz〜2 kHzで測定値をターゲットに揃え、それ以外をこの帯域との相対で判定する。REWではTarget Levelの設定が同じ役割を果たす。
REWへの読み込み方
REWのEQウィンドウは、選んだTarget Type(Full Range、Bass Limited、Subwoofer、Speaker driver)の形をもとに、ルームカーブかハウスカーブファイルのどちらかを上乗せしてターゲットを作る。より正確なのはハウスカーブファイルだ。周波数とオフセットの組を1行に1組、スペース・タブ・カンマのいずれかで区切って並べただけのテキストファイルである。上の表をファイルにすると次のようになる。
20 3.3
40 2.6
60 1.9
100 0.9
200 0
300 -0.7
500 -1.4
1000 -2.2
2000 -3.1
5000 -4.1
10000 -4.9
20000 -5.7- 1.これらの行を.txtファイルとして保存する。
- 2.EQウィンドウのターゲット設定で、それをハウスカーブとして読み込む。有効になっている間は、Filter AdjustグラフのTarget値の横にHの記号が表示される。
- 3.Calculate target level from responseを押し、ターゲットが測定値の真ん中を通り、削りたいピークがその上に出ていることを確認する。
ターゲットに従う帯域、従わない帯域
約300 Hz以下では、カットで特性をターゲットに合わせる。部屋の共鳴があり、ピークが大きく、リスニングエリア全体で安定している帯域であり、EQが最もよく働く場所だ。
それより上では、ターゲットはフィルターを合わせる対象ではなく、物差しとして使う。この帯域の細かな凸凹は頭を動かすたびに変わり、そこに合わせた狭いフィルターは他のすべての位置を悪くする。高域でのターゲットの使い道は大まかな傾向の確認である。上の2オクターブ全体が3 dB高いなら、なだらかなシェルフひとつで補正するのは妥当だ。
好みに合わせた調整
傾きは物理で決まる。低域シェルフは好みであり、ターゲットカーブをめぐる意見の違いの大半は実はここにある。2 dBの持ち上げを好む人もいれば、8 dBを好む人もいる。
- 一度に変えるのはひとつだけ。低域シェルフを2 dB下げたもの、2 dB上げたものを試し、一晩で行ったり来たりせず、それぞれ数日ずつ使ってみる。
- 音量に注意する。音量が下がると、聴覚は中域より低音に対する感度を早く失う。等ラウドネス曲線が示しているのはこのことだ。大音量でちょうど良いターゲットは深夜の小音量では痩せて聞こえ、小音量でちょうど良いものは音量を上げると重く聞こえる。
- 特殊なスピーカーでなければ傾きはそのままに。ホーンや大型の平面型など指向性の強いスピーカーは室内での傾きが小さく、標準的な傾きを押し付けると補正しすぎになる。