REW測定結果の読み方
REWの測定精度は見事ですが、意味は何も説明してくれません。各グラフが実際に何を語っているのかを、見るべき順番に沿って解説します。
読了 約9分 · 更新 2026-07-30
読み始める前に、測定そのものを確認する
掲示板に貼られる「よくわからない測定結果」の半分は、部屋のせいではなく測り方のせいでわからなくなっています。3点の確認に1分もかかりませんが、これで一晩分の時間が浮きます。
- 1.スムージングをオフにする。REWはSPL画面で初期状態から多少のスムージングをかけており、1/3オクターブのスムージングは、まさに探している鋭い共振を消してしまいます。診断中はNoneにし、全体の傾向を見たいときだけ後からかけてください。
- 2.マイクのキャリブレーションファイルを読み込む。UMIK-1をキャリブレーションファイルなしで使うと、帯域の上下端で数dBずれます。存在しない高域のディップを一週間追いかけることになります。
- 3.マイクを耳の高さに置き、REWが想定する向きに合わせる。UMIK-1は天井に向ければ90度用、スピーカーに向ければ0度用のキャリブレーションファイルを使います。取り違えると上2オクターブに広い誤差が乗ります。
周波数特性は3つの帯域に分けて読む
室内の周波数特性について知っておくべき最も重要なことは、グラフの左半分と右半分では意味が違い、直すための道具も違うということです。その境目がシュレーダー周波数です。
これより下では、部屋の共振どうしの周波数間隔が十分に広く、個別に振る舞います。ピークは1つの共振が大きく鳴っている状態です。これより上では共振が密に重なり合い、個々の共振は意味を持たなくなります。代わりに見えているのは、直接音と初期反射の干渉です。一般的な住宅の部屋では、この境目は150〜300Hzのどこかにあります。
- およそ200Hz以下:数十dBに及ぶ大きな山と深い谷。これは実在し、部屋そのものが原因で、はっきり聞こえます。改善の余地のほとんどはここにあります。
- だいたい200Hz〜500Hz:遷移領域。ピークはまだ注目に値しますが、狭い谷はすでに位置依存になり始めています。
- 500Hz以上:数dBの細かいリップル。このリップルは完全に無視してください。ここで意味があるのは大きな傾向だけで、それは平坦ではなく、緩やかに右下がりであるべきです。
RT60:吸音が必要かどうかを示すグラフ
残響時間は音が60dB減衰するまでの時間です。REWはT20、T30、EDT、Toptと複数の推定値を出します。狭い部屋では60dB分をそのまま測れることがまれだからです。特別な理由がなければ、REW自身の最良推定であるToptを読んでください。
単独の数値を読んではいけません。周波数に対する形を読んでください。低域に向かって急に立ち上がるカーブは誰もが知る「低音の膨らむ部屋」で、全帯域が一様に長すぎる部屋とはまったく別の問題です。
- 低域に向かって上昇し、500Hz以上は平坦:未処理の小さな部屋の典型。必要なのは壁に貼るパネルを増やすことではなく、厚いコーナー吸音です。
- 全帯域で一様に長い:単純に吸音材が足りていません。裸の壁、硬い床、ガラス。
- 2kHz以上で急に下がる:薄い吸音材をすでに入れすぎています。フォームや薄いパネルは500Hz以上にしか効かず、それ以下には無力なので、部屋いっぱいに貼ると高域だけ死んで低域の問題は手つかずのまま残ります。
ウォーターフォールとスペクトログラム:どこが尾を引いているか
ウォーターフォールは、時間の経過とともに周波数特性を繰り返し描き、奥に向かって積み重ねたものです。その役割は、信号が止まったあとも鳴り続ける共振がどのピークなのか、そして単に大きいだけのピークはどれかを示すことにあります。
この区別が重要なのは、周囲と同じ速さで減衰するピークはレベルの問題であり、隣の周波数が消えたあとも数百ミリ秒鳴り続けるピークは共振だからです。周波数特性の上では両者はまったく同じに見えます。
部屋の問題かスピーカーの問題かを見分ける
掲示板の質問の多くは結局これを聞いています。理論を持ち出さずに答えられる、費用のかからない確認方法が3つあります。
- 1.マイクを動かす。50cmずらしてもう一度測ります。大きく変わるものは部屋、動かないものはスピーカーです。
- 2.左右を比べる。同じスピーカー2本を左右対称の部屋に置けば、ほぼ同じに測定されます。食い違う帯域があれば、部屋が非対称です。たいていは片方だけ側壁に近いか、片側に開口があります。
- 3.周波数を部屋の寸法と照合する。343を各寸法(メートル)の2倍で割ります。この3つの数値とその整数倍が、200Hz以下で起きていることのほとんどを説明します。
このサイトが自動化しているのは3つめの照合と、深い谷の多くを説明する境界反射の計算です。測定結果と寸法を渡せば、数値を手で突き合わせる代わりに、各特徴の原因を名指しします。